東の白檀 西の薔薇

頭痛持ちによる記憶と香りのむすびつき

ゲラン サムサラ EDT: 絵画のような美しさ

 

先日のサロンドパルファンで購入したラールエラマティエールのドゥーブルヴァニーユが思いのほか肌への馴染みが良くて、優しく連れ添ってくれる香りだったので自分の中でのゲラン熱が燃え上がった……そんな矢先、ご縁あって我が家にきたのがサムサラ オードトワレ。

 

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サロンドパルファン2018にて、予約していたドゥーブルヴァニーユを受け取り、そのあとガーメントの山下さんとお話ししてるうちにいつのまにか財布を出していたリネンを持ち帰り、家人に「今年はもう香水は買いません」と宣言した。

(家で)酒を飲むこと以外ほぼ趣味を持たない人に言われる「随分お金使ったね」ほど心の臓に刺さる言葉はない。

 

でもそれから10日ほどして「今年はもう買いません」と言った舌の根が乾いて来てしまったのでサムサラをお迎えするに至った。

小学校の頃、「舌切り雀」でイジワルバーサンを演じた私のことだから、こんな屁理屈並べてたらいつか舌を切られるんじゃないかとビクビク過ごしている。

(香水への欲深さはあのバーサンくらいあるから危険だ)

 

 

ところで手元に来たビーボトル、ほんとうに美しい。

ゲランビギナーは前のボトルに思い入れがないので、すりガラスのような半透明のビーボトルに入った液体はなにより美しく見える。

 

私は6本足の生物が苦手なので全面に施されたハチが鬼門だったが、思ったより耐えられる。

蜂の巣の外観を装ったキャップも、まあこんな装飾あるよねーという感じ。

(蜂の巣の穴、ハニカム模様だけはどうしてもダメで、あの六角形が並んでいるのを見るだけで鳥肌が立ってしまうのでアクアアレゴリアはしばらくお迎えできなさそうだ。)

 

有り体なサムサラの紹介をすると

 

Samsara - Guerlain

 

 

ジャン・ポール・ゲランが最愛の女性のために、彼女が愛したサンダルウッドとジャスミンで創作した「サムサラ」。当時、宗教儀式のみに用いられてきた貴重なサンダルウッドとジャスミンを手に入れるため、ジャン・ポール・ゲランは何度もインドに足を運びました。調和とバランスを重んじる女性に向けた「サムサラ」は、 素材の融合性を極めた、官能と誘惑のフレグランスです。

 

とある。

 

「オリエンタル フローラル ウッディ
調和性が光る、包みこまれるような魅惑的な香り。

トップは香りの主役を成すジャスミンの花。サニーなイランイランがその香りを高めます。ホワイトムスクの明るく広がる温かさがそれに続き、最後にアイリス、トンカビーン、 バニラの香りが素晴らしい余韻へと昇りつめます。」

 

サンダルウッド全開なものと、アイリスが強いものは、実は私の肌との相性があまり良くない。

肌がもともと木のような匂いがするからか(前世はウソッキーみたいなやつだったのかもしれない)

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だから不安があったのでとりあえず着ていた服に1プッシュ。

 

(以下、中尾彬の声)

「うーん、おばあちゃんの匂いですねぇ……レビューにもあった、「おばあちゃん100人分」という感想の意味がよぉくわかりましたねぇ…」

 

とにかくあらゆるフローラルを押しのけて白檀がアクセル全開。

「おばあちゃん100人分」の白檀が藤原拓海も驚きのスピードで駆け抜けていきます。

 

でも不思議と、嫌じゃない。

鼻の敏感な家人も「うーん、寺!!」と言いつつ「嫌いではない」と言っていた。

アジア人の、抗うことのできぬ白檀への親和性を感じた。。。

 

 

しかし期待していた、花々とサンダルウッドの絶妙なバランス、を感じることができなくてとりあえず棚に安置。

白檀ことサンダルウッドはとても好きだけど落ち着くけど私の肌の上ではあまりに寺すぎる。超寺い(テラい)。

 

 

しばらく日を置いて再度試したのがさっき。あまりの感動に10ヶ月ぶりにブログを再稼働している。

 

気温も落ちて来て気分も落ち込むなぁと何の気なしにサムサラを腕につけたら、花々が…!!今まで見せることのなかった花々の姿が…!!!

 

「花の中の花」ことイランイランがまずあの柔らかな黄色い花弁をふわっと開きます。

そしてゆっくりとジャスミンの香りが立ち上がってくる、でもそこはもうアイリスの咲き誇る庭……。

アイリスとホワイトムスク(多分)のパウダリーさに包まれながらイランイランとジャスミンが咲いている。

 

(同じゲランのアプレロンデをまとうとハムの匂いになってしまう芸人の私、ここで号泣)

 

ハムにならない……うっうっ、そして、

肌にづげるど…寺くならな"い"…。

ゴンが復活した時のレオリオみたいな顔して泣いてる。

 

 

トップの花々が落ち着いてくると、柔らかなバニラが肌の上で立ち上がる。

背景にはムスクとサンダルウッド。

絵画のような美しさだなあと思う。

 

この前見た東山魁夷の絵画は、前面に押し出されているモチーフ(モティーフって言うのかな、ギョーカイでは…)と、計算され尽くした背景のバランスに酔いしれた。構図、色、全てが緻密に組み立てられていて、精緻でありながら機械的な冷たさは一切なく、自然に配置された木々、枝々、山、白馬、川……。

 

サムサラにもそんな温かみを感じる。

計算され尽くしているけれど、自然な。

 

トワレでこんなにいい匂いなんだからEDPやPはさぞかし素晴らしいんだろうと思うけどまだまだ纏うには早い気がして手を出さない。あと数年待つことにする。

 

ラストに向かってバニラも少しずつ落ち着いて柔らかなウッディに変化する。

私の肌との相性がいいのか、バニラは完全には消えない。人によってはカッコよく香るドゥーブルヴァニーユを「ヴェルターズオリジナルぐらい甘い」と言わしめた私の肌なだけある。

 

うーん、最後まで杏仁ぽさは私の鼻ではキャッチできないけど人によってはしっかりトンカビーンが香るのかなあ。

季節や体調、気温や湿度を変えて試したい。

 

 

紙や衣服と、肌の上とで全く異なる演出をするサムサラの虜になっています。